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大津地方裁判所 平成3年(日)616号 決定 1992年1月17日

補助参加人

波多野智通

加藤義一

深田則雄

藤井晃

加村賀勇

西川仁

藤井三恵子

高雄宏之

金岡英明

山本照夫

波多野和枝

平田園美

平田三千和

田中寿子

吉川昭

桑原学

杉江武司

八木実

園田貞子

石坂昭典

松木和雄

川嶋久美子

北村善昭

矢部正三

佐々木伸次

補助参加人ら代理人弁護士

吉原稔

野村裕

小川恭子

玉木昌美

元永佐緒里

基本事件原告

草津市

右訴訟代理人弁護士

市木重夫

基本事件(平成三年(ワ)第五二号事件)被告

佐山利次

基本事件(平成三年(ワ)第一〇二号事件)被告

新井潤道

右両名訴訟代理人弁護士

森岡一郎

主文

本件申立を却下する。

理由

一  本件基本事件についての原告草津市の請求は、次のとおりである。

1  原告草津市は平成二年一〇月一六日に滋賀県草津市草津町一四七三番五・雑種地・一四八平方メートル(以下「本件土地」という。)を駐車場用地として使用することを合意した上被告佐山利次に売り渡した(以下「本件売買契約」という。)。

2  しかるにその後、同被告は右合意に反し、本件土地上に鉄骨二階建の暴力団の組事務所(以下「本件建物」という。)を築造した。

3  原告草津市は、右築造の事実は本件売買契約上の契約違反であるから、本件売買契約を解除すると主張して被告佐山利次に対し、本件土地の所有権移転登記の抹消登記手続及び本件建物の収去、本件土地の明渡しを求め、被告佐山利次から本件土地の所有権移転登記を得た被告新井潤道に対しては、同被告は背信的悪意者であるから原告草津市は本件土地の原告草津市への復帰を同被告に主張しうるとして右登記の抹消登記手続を求めているものである。

二  補助参加申立人らの主張の要旨は、次のとおりである。

1  補助参加申立人の「一部」が原告草津市の市長である高田三郎及び被告佐山利次並びに被告新井潤道を相手として、いわゆる住民訴訟を提起している。その内容は、原告草津市が、本件土地を暴力団組長である被告佐山利次に随意契約で市場価格に比して著しく合理性を欠く低廉な価格で売却したことは、地方自治法二条一五項一六項、民法九〇条によって無効であることを理由に、本件土地返還建物明渡等、不当利得返還損害賠償、原状回復の代位請求を提訴している、というものである。従って、本件基本事件に原告草津市が勝訴すれば、右住民訴訟で原告住民が勝訴する可能性を高め、かつ、その目的を達することができる。

2  補助参加申立人らは本件建物の近隣に居住しているところ、本件建物は暴力団組事務所であって、補助参加申立人らの生命身体財産等の安全が侵害されている、或は侵害されるおそれがあるから、本件基本事件の訴訟に原告草津市が勝訴すれば補助参加申立人らは人格権の侵害を予防する事ができる、或は人格権が実現される。

3  右1、2の利益は、民事訴訟法六四条の「利害関係」に該等する。

三  ところで、民事訴訟法六四条にいう「利害関係」とは、補助参加申立人が参加しようとする他人間の訴訟の結果いかんによっては、自らの私法上または公法上の権利関係に法律上影響を受けるという意味での法律的な利害関係を指すものであることは論をまたない。

しかるに、補助参加申立人らが主張する、前項1の点は、仮に本件基本事件での原告の主張、すなわち本件売買契約上の契約違反による本件売買契約の解除に基づく請求が認容され、原告草津市が勝訴したとしても、そのことが右住民訴訟に対する、地方自治法二条一五項一六項、民法九〇条違反等に関する裁判所の判断に「法律上」影響を与えることはあり得ないし、反対に原告草津市が本件基本事件に敗訴したからといって、そのことによって右住民訴訟が「法律上」影響を受けないことも明らかである。

さらに、前項2の点は、仮に原告草津市が勝訴したとすれば、なるほど、補助参加申立人らの主張する人格権の侵害を予防することができる、或は人格権が実現される事態が招来すると解される余地はあるが、そのような事態は、たまたま補助参加申立人らの主張する被告佐山利次らに対する人格権という法律上の権利関係とは全く無関係な、本件基本事件についての原告草津市の勝訴という別の経路によって齎され得る事実上のものでしかなく、右関係が本件基本事件と補助参加申立人らの「法律上の利害関係」でないことは自明であるし、反対に原告草津市が本件基本事件に敗訴したからといって、補助参加申立人らの主張する「人格権」という権利が、毫も影響を受けないことも明白である。

四  以上の検討によれば、補助参加申立人らの本件申立は理由がなく、却下を免れないので、主文のとおり決定する。

(裁判官 永井ユタカ)

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